「びらびら」と呼ばれる小陰唇は、左右で大きさや形に違いがあることがよくあります。片方だけが大きいと見た目が気になったり、下着との摩擦やムレ、かゆみ、痛みなどの不快感につながることも。実は、この左右差には先天的な体のつくりだけでなく、後天的な刺激やホルモンバランスの変化など、さまざまな原因が関係しています。
本記事では、片側の小陰唇が大きくなる主な原因と、それに対する具体的な対処法について、医療的な視点から詳しく解説します。
監修医師プロフィール
サイトリ杉山美容クリニック
院長/医師 櫻井 夏子
経歴
2015年 順天堂医学部付属順天堂医院 初期臨床研修
2017年 順天堂医学部付属順天堂医院 整形外科入局
2020年 某大手美容クリニック 入職
2021年 某大手美容クリニック 副院長就任
2022年 NEXUSクリニック 入職
2024年 サイトリ杉山美容クリニック 院長就任
所属学会
美容外科学会(JSAS)
美容皮膚科学会
抗加齢医学会
びらびらが片方だけ大きいのはなぜ?
小陰唇に左右差があることは、実は多くの女性に見られるごく自然な状態です。小陰唇の大きさ・形・色は人によってさまざまで、左右対称でないことの方が一般的ともいえます。片方だけが大きく見えたり、厚みに差がある場合でも、それが直ちに異常というわけではありません。
日常生活に不便がなければ、とくに治療や対処の必要はなく、あくまで個性の一部として受け入れられるものです。ただし、見た目が気になったり、下着との擦れやムレ、痛みなどの不快感がある場合は、婦人科形成の選択肢もあります。気になる左右差がある場合には、一人で悩まず専門医に相談することも安心につながります。
びらびらが片方だけ大きい原因
びらびら(小陰唇)が片方だけ大きいのは、先天的な発達の差や、日常的な摩擦・刺激、ホルモンバランスの変化など、複数の要因が関係していると考えられます。
異常ではなく自然な個人差であることが多いですが、原因を知ることで不安を減らし、必要に応じた対処もしやすくなります。主に考えられる原因は以下の通りです。
- 先天的要因
- 生活習慣などによる外的要因
- ホルモンバランスの変化
- 皮膚疾患
- 加齢による女性器の老化
それぞれ見ていきましょう。
先天的要因
小陰唇に左右差がある原因のひとつとして、先天的・遺伝的な要因が挙げられます。もともとの体のつくりとして、左右の小陰唇に大きさや形の違いがあることは珍しくなく、成長とともにその差が目立ってくる場合もあります。
実際、小陰唇の非対称性は多くの女性に見られる自然な個人差の一つであり、先天的に左右差がある場合も少なくありません。日常生活に支障や不快感を感じる方は、婦人科形成などで整えることが可能です。
生活習慣などによる外的要因
小陰唇の左右差は、先天的な要因だけでなく、日常生活の中での外的な刺激や習慣によって生じることもあります。たとえば、タイトな下着や衣類を日常的に着用すること、座り方に癖があること、自転車やバイクに長時間乗る習慣などが、特定の側に継続的な圧や摩擦を与え、小陰唇の一方が大きくなる原因になることがあります。
こうした外的要因による変化は徐々に進行するため、自覚がないまま左右差が目立ってくるケースもあります。不快感がある場合は対策が必要です。
ホルモンバランスの変化
小陰唇の左右差は、ホルモンバランスの変化によって生じることもあります。思春期・妊娠・出産など、女性ホルモンの分泌が大きく変動する時期には、体のさまざまな部位に変化が現れます。
特に、エストロゲンの分泌が増えると外陰部の皮膚が厚くなり、小陰唇の肥大を引き起こす原因となりやすいとされています。こうした変化は個人差が大きく、左右で異なる影響を受けることもあるため、気づかないうちに片側だけが大きくなることもあります。
皮膚疾患
小陰唇の左右差や肥大の原因のひとつに、皮膚疾患の影響が挙げられます。たとえば、アトピー性皮膚炎があると、炎症による強いかゆみから無意識にかいたり擦ったりすることが多くなり、刺激が繰り返されることで小陰唇の皮膚が肥厚し、徐々に肥大につながることがあります。
また、象皮症(リンパ液のうっ滞などで皮膚が硬く厚くなる状態)も、小陰唇のむくみや皮膚の変化によって肥大を引き起こす可能性があります。こうした疾患がある場合は、婦人科だけでなく皮膚科的な治療も併せて検討することが大切です。
加齢による女性器の老化
加齢によって女性器にも老化が起こることは自然な現象です。顔にシワやたるみが現れるように、外陰部の皮膚や粘膜も弾力を失い、たるみが生じやすくなります。このたるみが小陰唇の形に影響を与え、下垂や肥大として目立つようになることがあります。
特に閉経後は女性ホルモンの分泌が減少し、皮膚の乾燥やハリの低下が進行しやすいため、小陰唇の変化を自覚する方も少なくありません。
びらびらが片方だけ大きいことによるデメリット
びらびら(小陰唇)が片方だけ大きいことは自然な個人差の一つですが、下着との擦れやムレ、かゆみ、痛みなどの不快感を引き起こすことがあります。
さらに見た目の違和感からコンプレックスにつながるケースもあります。びらびらが片方だけ大きいことによるデメリットは以下が挙げられます。
- 摩擦や圧迫による痛みを生じやすい
- ムレや臭いの原因になりやすい
- 色素沈着を起こしやすい
- 排尿時に尿が飛び散りやすい
- 見た目を気にしやすい
それぞれ見ていきましょう。
摩擦や圧迫による痛みを生じやすい
小陰唇に左右差があると、肥大している側が下着や衣類に触れやすくなり、摩擦や圧迫によって痛みや違和感を感じやすくなります。特にタイトな下着やパンツ、ナプキンの使用時には刺激が強まり、日常生活の中で不快感が生じることがあります。
さらに、片方だけが大きいことで、歩行中や座ったときに下着などに引っかかるような感覚がある場合もあり、無意識に気になる場面が増えることもあります。こうした状態が続くと、スポーツや長時間の移動が億劫になったり、下着の選び方に制限が出るなど、生活の質にも影響を与える可能性があります。
ムレや臭いの原因になりやすい
小陰唇が大きくなると、ひだの間に恥垢(ちこう)などの分泌物が溜まりやすくなり、通気性も悪くなるため、ムレや臭いの原因になりやすいとされています。特に汗をかきやすい季節やナプキンを長時間使用する場面では、湿度がこもりやすく、菌の繁殖を招きやすい環境になります。
その結果、不快な臭いが発生したり、かゆみや違和感につながることもあります。また、不衛生な状態が続くことで膣炎などのトラブルを引き起こす可能性もあるため、丁寧なケアと清潔な状態を保つことが重要です。
色素沈着を起こしやすい
小陰唇が肥大していると、歩行時や下着・衣類との接触によって摩擦が頻繁に起こりやすくなります。こうした摩擦が繰り返されることで、肌は刺激から守ろうとしてメラニンを生成しやすくなり、色素沈着を引き起こす原因となります。
その結果、小陰唇や周囲の皮膚に黒ずみが生じ、デリケートゾーン全体の見た目に影響を及ぼすことがあります。黒ずみは一度できるとセルフケアでは改善しにくい場合もあるため、気になる方は医師に相談するのがおすすめです。
排尿時に尿が飛び散りやすい
小陰唇の肥大や左右差があると、排尿時に尿の流れが妨げられ、尿が飛び散りやすくなることがあります。肥大した小陰唇が尿道口周辺にかぶさることで、尿がスムーズに排出されずに不規則に飛び散る可能性が高まるためです。
見た目を気にしやすい
小陰唇に左右差があると、「自分だけ変かもしれない」と不安を抱きやすく、公衆浴場やプールなどで視線を気にしてしまう方も少なくありません。また、異性との関係でもコンプレックスを感じ、自信を持てずに距離をとってしまうこともあります。
さらに、近年増えているVIO脱毛においても、外陰部の見た目に対する悩みが強いと、恥ずかしさや不安から施術をためらってしまうケースがあります。このように、左右差による見た目の問題は身体的な不快感だけでなく、精神的なストレスや行動の制限にもつながることがあります。
片方だけ大きいびらびらを治す方法は小陰唇縮小手術

市販のアイテムや下着の工夫などで一時的に対処することは可能ですが、根本的な解決にはつながりにくいのが現実です。そうしたお悩みの解消方法として一般的に用いられるのが小陰唇縮小手術です。
ここでは、手術の概要やメリットについて詳しくご紹介します。
- 小陰唇縮小手術の概要
- 小陰唇縮小手術を受けるメリット
- 小陰唇縮小手術を受けるデメリット
それぞれ見ていきましょう。
小陰唇縮小手術の概要
小陰唇縮小手術は、肥大している側の小陰唇を、反対側の大きさや形に合わせて切除し、左右のバランスを整える婦人科形成の施術です。施術中は局所麻酔を使用するため、強い痛みを感じることはほとんどありません。
ダウンタイムは個人差がありますが、腫れは1~2週間かけて徐々に落ち着きます。翌日からお仕事に復帰される方も多いです。さらに、クリトリス包茎や大陰唇縮小手術など、他のデリケートゾーンの施術と組み合わせて同時に行うことも可能です。見た目の調整とともに、デリケートゾーン全体のバランスを整えたい方にも選ばれている治療法です。
小陰唇縮小手術を受けるメリット
手術を受けることで得られるメリットは多岐にわたります。まず、左右差や肥大による見た目のコンプレックスを解消し、自信を持てるようになるという心理的効果が大きな利点です。また、摩擦や圧迫による痛み、ムレ、におい、排尿時の違和感など、日常生活での不快感が軽減されることも期待できます。
下着や水着を選びやすくなることで、ファッションの自由度も広がり、行動範囲が広がる方も多いです。単に見た目を整えるだけでなく、快適さや生活の質向上にもつながる実用的な婦人科形成のひとつです。
小陰唇縮小手術を受けるデメリット
多くのメリットがある一方で、ダウンタイム中の痛みや施術後の注意事項、施術費用がかかることなどがデメリットとして挙げられます。
術後は腫れや違和感が数日から1週間ほど続くことがあり、一時的にシャワーや性行為、運動などの制限が必要となります。また、仕上がりに対する期待と現実に差が出ることもあるため、事前のカウンセリングで希望をしっかり伝えることが重要です。
痛みに関しては、鎮痛剤の処方や、術後72時間ほど痛みを和らげる長時間作用型の麻酔薬の使用も可能ですので、対策は十分に整っています。費用面についても、保険適用外の自由診療となるため、予算に応じた検討が必要です。
片方だけ大きいびらびらを改善できる小陰唇縮小手術が適している方の特徴
以下のような症状やお悩みがある方は、手術によって不快感の軽減や外見の改善が期待できるため、選択肢のひとつとして考えるとよいでしょう。
- 感染や炎症を繰り返している
- 痛みや不快感を日常的に感じている
- 運動や歩行時に摩擦が生じたり、下着に引っかかることがある
- 見た目のコンプレックスが精神的なストレスになっている
びらびらが片方だけ大きいことに関するよくある質問

びらびら(小陰唇)が片方だけ大きいことは、多くの方が抱える悩みです。原因や症状、治療方法についての疑問や不安を解消するために、よくある質問をわかりやすくまとめました。
- セルフケアでびらびらの大きさは治せますか?
- びらびらが片方だけ大きい場合は手術が必要ですか?
- 小陰唇縮小手術は保険適用されますか?
- 小陰唇縮小手術を受けたことは見た目でバレますか?
それぞれ見ていきましょう。
セルフケアでびらびらの大きさは治せますか?
小陰唇の大きさや左右差をセルフケアで根本的に治すことは基本的にできません。マッサージや保湿、下着の工夫などで一時的に摩擦や不快感を軽減することは可能ですが、皮膚や粘膜そのもののサイズを小さくしたり、左右差を整えたりする効果はありません。
また、市販のクリームやケア商品で「小さくなる」「黒ずみが取れる」といった表現があっても、医学的な根拠がないものが多く、過度な期待は禁物です。無理なセルフ処理はかえって炎症や色素沈着を招くリスクがあるため注意が必要です。
びらびらが片方だけ大きい場合は手術が必要ですか?
片方だけ大きいからといって、必ずしも手術が必要というわけではありません。見た目の違いがあっても、日常生活に支障がなく、痛みや炎症、不快感がなければ治療の必要はない場合も多いです。
ただし、下着や衣類と擦れて痛みが生じたり、ムレ・におい・炎症などのトラブルが繰り返される場合には、小陰唇縮小手術が適応となることがあります。また、左右差が気になって精神的なストレスを感じている場合も、手術を検討する一つの選択肢です。
必要かどうかは症状や生活への影響に応じて判断されるため、気になる方は専門医に相談することが望ましいです。
小陰唇縮小手術は保険適用されますか?
結論からお伝えすると、小陰唇縮小術は「保険適用外」で全額自己負担の診療(自由診療)です。自由診療の場合、クリニックにより費用や治療内容が異なります。
特に、ホームページに「料金 〇〇円〜」と曖昧な表記があるクリニックでは、カウンセリング後の見積もりが予想以上に高額になる恐れがあるため注意しましょう。
小陰唇縮小手術を受けたことは見た目でバレますか?
小陰唇縮小手術は、抜糸あり・抜糸なしの方法があり、それぞれに仕上がりやダウンタイムの特徴があります。抜糸なしの方法では、中縫いによって縫合跡が目立ちにくく自然な仕上がりになりやすいため、手術を受けたことが見た目でバレにくいとされています。
一方、抜糸ありの方法でも、時間の経過とともに傷跡はなじみ、目立たなくなっていきます。さらに、性交渉は最短で1週間後から可能なため、長期間パートナーに不安を与えることなく、普段通りの生活に戻ることが可能です。
まとめ
びらびら(小陰唇)が片方だけ大きいのは、多くの女性に見られる自然な個人差であり、先天的要因や生活習慣、ホルモンバランスの変化、皮膚疾患、加齢などさまざまな原因が関係しています。左右差によって痛み・ムレ・におい・排尿トラブル・見た目の悩みが生じることもあります。
根本的に改善するには小陰唇縮小手術が有効で、手術の特徴や適している方の条件、保険適用の有無なども含めて解説しました。不安や疑問がある場合は、一人で悩まず、ぜひ当院へお越しくださいませ。